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【AI】第3回:生成AI導入で情報システム部門が直面する課題とリスク|生成AIを「使える技術」に変える ― 情報システム担当者のための実践ガイド

はじめに

生成AIは、業務効率化や知的生産性の向上を期待され、多くの企業で関心を集めています。一方で、実際に業務へ導入しようとすると、情報システム部門にはこれまでとは性質の異なる課題が立ちはだかります。本記事では、生成AI導入時に情報システム担当者が直面しやすい代表的な課題とリスクを整理します。

セキュリティと情報漏洩リスク

入力データはどこへ行くのか

生成AIを業務で利用する際、最初に問題となるのが「入力したデータの扱い」です。
問い合わせ内容、顧客情報、社内資料などをそのままAIに入力した場合、

  • データが外部に送信されるのか
  • 学習データとして再利用されるのか
  • 保存期間はどの程度か

といった点を把握せずに利用が進むケースも少なくありません。
情報システム部門としては、「使ってよい情報」と「入力を禁止すべき情報」を明確に線引きする必要があります。

生成AIを業務で利用する際には、ツールの便利さだけでなく「どこまで自社でコントロールできるか」が重要になります。この考え方は、オープンソースソフトウェアを業務利用する際の判断軸とも共通しています。

生成AIの回答精度と責任の所在

もっともらしい誤り(ハルシネーション)

生成AIは、事実と異なる内容でも自然な文章で回答することがあります。
業務利用では、この「もっともらしい誤り」が大きなリスクとなります。

例えば、

  • 社内ルールと異なる回答
  • 既に廃止された手順の提示
  • 文脈を誤解した要約

などが発生した場合、誰がその責任を負うのかが曖昧になりがちです。

判断主体は誰か

生成AIはあくまで補助ツールであり、最終判断は人が行う必要があります。
「AIがそう言ったから」という運用が定着すると、業務品質と統制の両面で問題が生じます。情報システム部門には、この原則を組織内に明確に示す役割が求められます。

データ管理とナレッジの品質問題

AIはデータの質を選ばない

生成AIは、参照させたデータをそのまま利用します。
つまり、誤った情報や古い資料が含まれていれば、それを前提に回答を生成します。

その結果、

  • 部署ごとに異なる解釈が拡散する
  • 正式ルールと非公式資料が混在する

といった問題が表面化します。

ナレッジ整備の重要性

生成AI導入は、ナレッジ管理の「近道」ではありません。
むしろ、

  • どの情報を正式なものとするか
  • 更新責任は誰が持つのか

といった整理ができていない組織ほど、導入効果が出にくい傾向があります。

技術以前に立ちはだかる組織的課題

PoCで止まる理由

生成AI導入は、PoC(概念実証)までは比較的容易です。しかし、業務定着まで進む例はまだ多くありません。

主な要因として、

  • 利用ルールが曖昧
  • 現場と情シスの役割分担が不明確
  • 効果測定の指標がない

といった点が挙げられます。

情報システム部門の立ち位置

生成AIを巡って、情報システム部門が「禁止する側」に回ってしまうと、現場との分断が生まれます。一方で、無制限に許可すれば統制が崩れます。

重要なのは、

  • 使い方の枠組みを設計する
  • 危険な使い方だけを止める

というバランスです。


次回は、生成AIを業務に組み込むための設計とガバナンスをテーマに、
「どの業務に使い、どこで使わないか」をどう決めるべきかを掘り下げます。