「クラウド移行にどれくらい費用がかかるのか?」
これはクラウド移行を検討している企業・情報システム担当者にとって、最も気になるテーマのひとつです。
しかし実際の現場では、単純に「クラウドは安い」と言われるだけで、
- 想定以上の料金が発生する
- 運用コストが増える
- 費用計画が破綻する
といった課題が起こります。
この記事では、クラウド移行の費用相場をオンプレミスと比較しつつ、実例ベースで考え方を整理します。
クラウド移行費用の基礎知識(まず考えるべきこと)
クラウド移行の費用は大きく分けると次の3つに分かれます。
- 移行時の一時的な費用(設計・作業・テストなど)
- クラウド側のランニングコスト(月額/従量)
- 運用・保守の費用(担当者or外注)
よく「クラウドの費用」と言っても、単純にインスタンスの料金だけを見ると誤解が生まれます。
まずは、この3つを理解してから比較することが重要です。
クラウド移行の初期費用:何にお金がかかる?
クラウド移行の初期費用には、ざっくり次の要素が含まれます。
1. 現行システムの棚卸し・設計
サーバ一覧・依存関係・ネットワークを整理すると、作業時間として一定コストがかかります。オンプレではこの部分は「ある程度現場で分かっている」前提になりがちですが、クラウドは仕様・方向性を整理する必要があります。
2. 移行方式の判断と設計文書の作成
Lift & Shift/Replatform/Refactorなど、方式によって設計負荷が変わります。特にRefactorは大きな設計コストが必要です。
3. 実際の移行作業
サーバの構築、データ移行、テスト、切り戻し計画など、作業時間が必要です。これが移行プロジェクト費用の大部分になることが多いです。
4. テストと検証
移行だけでなく、移行後の動作確認・パフォーマンステスト・障害リカバリテストなどにも費用がかかります。
クラウド側の月額費用(一般的な例)
クラウド費用は、使った分だけ課金されます。代表的な構成で比較してみます。
※以下はあくまで目安です。実際の料金はリージョン・仕様・利用状況により変動します。
- 小規模サーバ(t3.small / comparable):数千円〜1万円/月程度
- 中規模サーバ(t3.large / comparable):1.5万円〜5万円/月程度
- DB(RDS相当):数万円〜10万円/月程度
- ストレージ(S3など):容量×利用量
オンプレのサーバ費用と単純に比較すると、クラウドは分かりやすい・スケールしやすいというメリットがありますが、
- 利用量に応じて費用が変動する
- バックアップ・監視が別サービスになることがある
といった点で工夫が必要です。
オンプレとのコスト比較(ざっくりモデル)
典型的な比較例として、年間コストで考えてみます。
オンプレ
- サーバ保守(稼働・電源・ラック):数万円/月
- ハードウェア償却費:20万円〜/年
- ライセンス費(OS/DB):別途
- 障害対応:保守契約費用
クラウド
- インスタンス費:使用量分
- ストレージ費用
- データ転送費用
- バックアップ費用
- 監視サービス費
オンプレは設備費が見える形で固定費化できますが、クラウドは変動費としてのランニングコストになります。
費用が増える落とし穴と回避策
落とし穴1:使っていないインスタンスを放置している
テスト用・開発用のインスタンスを止め忘れると、毎月費用が発生します。
落とし穴2:自動スケール構成になっていない
必要以上にスペックを固定してしまうと、無駄に費用が増えます。
落とし穴3:バックアップが無駄に増えている
バックアップ保持期間・世代数を見直すだけでも費用は下がります。
落とし穴4:運用ツールが別課金になっている
監視やログ集約サービスが別費用になるケースはよくあります。設計時に確認しておきましょう。
クラウド移行と「保守運用」の費用設計
クラウド移行は「移行作業で完了」するものではありません。そこからの運用が続きます。
運用が回らないと、次のような費用が発生します。
- 障害対応コスト
- パフォーマンス改善費用
- セキュリティアップデート費用
- 担当者の時間コスト
クラウドの初期費用が抑えられたとしても、運用費が増えるとトータルコストは大きく変わります。
関連:クラウド移行の全体像は連載で詳しく解説
費用設計だけではなく、クラウド移行の方式や進め方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もおすすめです。
クラウド移行後の運用設計で困っていませんか?
クラウドコストを最適化し、運用を回すには、「保守運用まで含めた体制設計」が欠かせません。
当社では、クラウド移行だけでなく、移行後の保守設計・運用体制づくりまで支援するサービスを提供しています。
- 運用ルール設計
- 監視・バックアップ設計
- 障害対応フロー整備
- ベンダー引継ぎ・体制構築支援
こんな課題に困ったら 担当者が定年、退職 自社開発を行ったが、担当者が退職。設計書やマニュアルも無く、システムに詳しい担当者もいないため、引継ぎが出来ない。 システム会社が廃業 長く使っている社内システムを今後も使い続けたいが、システム開発を委...
まとめ
クラウド移行の費用は、
- 移行初期費用
- クラウドのランニングコスト
- 運用・保守コスト
という3つに分けて考えるのが基本です。
安さだけを追うのではなく、運用まで含めたトータルコストで比較することが成功のポイントになります。