これからの保守運用に求められる視点|情報システム担当者のための実践ガイド(第5回)

はじめに:保守運用の未来を考える


これまでの連載で、保守運用の重要性、失敗パターン、強い運用体制の作り方、引継ぎのチェックリストを解説してきました。
最終回では、今後の保守運用に求められる視点と、情報システム担当者が意識すべき新しい取り組みを紹介します。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の影響


クラウドやSaaS、リモートワークの普及により、システム環境は多様化しています。これに伴い、従来のオンプレ運用だけでは対応が難しくなっています。

  • クラウドサービスの利用による運用範囲の変化
  • ハイブリッド環境での障害切り分けの重要性
  • 運用チームのスキルセットの多様化が必要

自動化・AIの活用


運用自動化やAIを活用することで、人的負荷を減らし、障害検知や予測が可能になります。

  • 監視アラートの自動分類と優先順位付け
  • AIによる障害予兆検知
  • 定型作業の自動化によるミス削減

継続的改善(Continuous Improvement)の重要性


保守運用は一度作った体制で完了するものではありません。常に改善を繰り返すことが求められます。

  • 障害やトラブルの振り返りを定期的に実施
  • 運用手順やマニュアルの更新サイクルを確立
  • 最新技術や業務変更への柔軟な対応

セキュリティとコンプライアンスの強化


サイバー攻撃や法令改正が頻繁に起こる現代では、保守運用担当者にもセキュリティ意識が必須です。

  • アクセス権限の定期見直し
  • ログ管理・監査対応の徹底
  • 法令改正に合わせた運用ルールの更新

業務部門との協働


IT部門だけでなく、業務部門との協働もますます重要になります。

  • システム変更や改善要求の早期共有
  • 業務ニーズを運用プロセスに反映
  • 担当者間のコミュニケーション強化で属人化を防ぐ
Tips将来の運用課題に備えるために、当社のシステム開発・保守引継ぎサービスの活用も有効です。運用フローやコミュニケーションルールを網羅した保守運用手順書などを準備。ドキュメント更新、監視自動化まで幅広く支援し、最新の運用課題にも対応可能です。

まとめ:これからの保守運用に求められる視点


今後の保守運用は、単なる「障害対応」ではなく、企業活動を支える戦略的な役割を担います。ポイントは以下です:

  • DX時代に対応する柔軟な運用体制
  • 自動化・AIによる効率化と予測運用
  • 継続的改善と最新技術・法令への適応
  • 業務部門との協働と情報共有の徹底

この5回連載を通して、情報システム担当者が保守運用・引継ぎに必要な基本的視点と具体的手法を理解できるようになったはずです。
ぜひ、各回で紹介したチェックリストや体制構築のポイントを実務に活かしてください。