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開発後の落とし穴
保守運用は「地味で当たり前」と思われがちですが、現場では意外と多くの失敗が起こります。
IS担当者が陥りやすい典型例を整理すると、改善ポイントが見えてきます。
属人化によるリスク
- 現象:担当者しか運用ルールや対応手順を知らない
- 影響:休暇や退職時に業務が止まる、トラブル対応が遅れる
- 具体例:ある企業では、夜間にサーバーがダウンした際、担当者しか対応手順を知らず、復旧まで数時間を要しました。
- 対策:マニュアル化、運用手順のドキュメント化、チーム間での知識共有
障害対応の属人化・遅延
- 現象:障害発生時の一次対応が遅い
- 原因:監視アラートの放置、連絡フローが不明確
- 具体例:ECサイトでアクセス障害が発生した際、担当者が不在で復旧まで3時間待ったケース
- 対策:自動監視、通知フローの明確化、代替担当者の設定
パッチ適用や更新の遅れ
- 現象:OSやアプリケーションの更新を後回し
- 影響:セキュリティ脆弱性や法改正への非対応リスク
- 具体例:脆弱性が発覚したのにパッチ適用が遅れ、社内情報が漏洩する可能性
- 対策:定期的なパッチ適用スケジュールの作成、影響範囲の事前確認
引継ぎ不足
- 現象:開発から運用への引継ぎが不十分
- 影響:仕様や制約条件がわからず、トラブル対応に時間がかかる
- 具体例:システム改修後、運用担当者が変更点を理解しておらず、問い合わせ対応が混乱
- 対策:開発者から運用担当へのハンズオン引継ぎ、運用マニュアルの整備
ドキュメントの陳腐化
- 現象:手順書や仕様書が古いまま放置
- 影響:トラブル時に誤った情報で対応、対応時間が増大
- 具体例:バックアップ手順が更新されておらず、緊急時に復旧が遅れた
- 対策:定期的なドキュメント更新、レビューの仕組み
コミュニケーション不足
- 現象:業務部門とIS部門で情報共有が不十分
- 影響:変更や障害の情報が伝わらず、トラブルや混乱を招
- 具体例:営業部門が仕様変更をIS部門に伝えておらず、システムが誤作動
- 対策:変更管理フローの明確化、定期ミーティングや報告ルール
まとめ:失敗を防ぐには「見える化」と「仕組み化」
保守運用の失敗パターンは、「属人化」「ドキュメント不備」「コミュニケーション不足」に集約されます。
対策のキーワードは、見える化と仕組み化です。
- 監視や通知を自動化し、問題を早期発見
- 運用手順や障害対応フローを文書化
- 情報をチームで共有し、属人化を防止
さらに、こうした課題を根本的に解決するには プロの支援を活用することも有効です。
Tips例えば当社のシステム開発・保守引継ぎサービスでは、開発ドキュメントのチェックリストや運用フローのひな型、コミュニケーションルールを網羅した保守運用手順書などを準備。ドキュメントの整備から監視体制の構築まで一括支援しています。
次回は、「強い保守運用体制を作るための理想的な仕組み」 を具体例を交えて解説します。