ノーベル賞制定記念日とセレンディピティーとブルーマンデー

11月27日は、1901年11月27日に第1回ノーベル賞の授賞式が開催された事を記念して「ノーベル賞制定記念日」と定められたそうです。この「ノーベル賞」を発案したのはダイナマイトの発明で財産を築いたアルフレッド・ノーベルです。そして11月27日は月曜日。休み明けの憂鬱な気持ちを「ブルーマンデー症候群」と呼ぶそうですが、「ダイナマイト」と「ブルーマンデー」に意外な関係がありそうです。

(2023年11月27日 企画推進室)

セレンディピティー

突然ですが「セレンディピティー」という用語はご存知でしょうか。

「セレンディップの3王子」というお話が由来となって、「思いもよらなかった偶然がもたらす幸運」を意味するそうです。

ダイナマイトの発明も「セレンディピティー」の為せる業だったようですが、世界の発展に寄与したことで有名な「ダイナマイト」も、戦場で用いられて多くの人命が犠牲になりました。

その事から、平和利用を願ってノーベル賞が創設されたようです。

 

そんなダイナマイトの原料である「ニトログリセリン」ですが、狭心症の特効薬としても知られています。こちらの発見も、まさに「セレンディピティー」の産物だったようです。

 

20世紀初頭、イギリスのダイナマイトを生産する火薬工場で、なぜか月曜日に決まって頭痛やめまい等の症状を訴える作業員が多い事がわかりました。

一方で、狭心症を患う作業員の声で「工場にいるときは発作が起こらない」という事もわかったんです。

これらの事から、「工場内に舞うダイナマイトの原料のニトログリセリンの粉塵が、皮膚や粘膜から吸収されて狭心症が抑えられていたんじゃないか」と推理され、医師がニトログリセリンの研究を進めた結果、血管を拡張させる作用があることを突き止めたと言われています。

痛む胸を押さえての月曜日から「ブルーマンディ」という言葉が生まれたんだそうですが、最初の「ブルーマンディ」は憂鬱な気分どころか、本当に発症していたんですね。

 

しかし、ニトログリセリンが血管にどう作用しているのかは、長い間解明されていませんでした。そのメカニズムが判明し、研究に携わったロバート・ファーチゴット博士らは1998年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています。

ノーベルの発明から続く人類の発見と発明の繋がりに、感慨深いものを感じてしまいます。

 

ちなみに、ニトログリセリンは不安定爆発物とされていますが、薬になっているものは爆発しないように工夫されているそうです。

 

ノーベルの発明ほどでは無いかもしれませんが、「自分たちの仕事が誰かを幸せにする」と考える事が出来れば、「ブルーマンデー」も少しは楽しく迎えられるかもしれませんね。