第4回:OSSのセキュリティリスクとその対処法 ― 安全に業務利用するために|情報システム担当者のためのOSS業務利用実践ガイド

OSSとセキュリティの関係


オープンソースソフトウェア(OSS)は自由度が高く、世界中の開発者が改善を続けています。一方で「ソースコードが公開されているのだから脆弱性を突かれやすいのでは?」という懸念を持つ企業担当者も少なくありません。実際には、OSSには特有のセキュリティリスクが存在しますが、適切に管理すれば商用ソフトウェアよりも迅速に対応できるケースも多いのです。

OSS利用における典型的なリスク


1. 脆弱性の放置

OSSは世界中の開発者が監視しているため脆弱性の発見は早い一方で、利用者がアップデートを怠れば危険にさらされます。たとえば、2017年に発覚した「Apache Struts2」の脆弱性は、放置した企業が相次いで情報漏えい事故に見舞われました。問題はOSSそのものではなく、利用者側のメンテナンス体制にあります。

2. 依存関係の複雑さ

OSSは多数のライブラリやモジュールに依存している場合が多く、その一部に脆弱性があると連鎖的に影響を受けます。近年話題となった「Log4jの脆弱性」もその一例です。システム全体でどのライブラリを利用しているか把握できていないと、潜在的なリスクを見逃してしまいます。

3. サポート不足

OSSは基本的に「自己責任」での利用が前提です。小規模なOSSプロジェクトでは、脆弱性が発見されても修正が遅れることがあります。その場合、企業側で回避策を講じるか、代替OSSや商用サポートを検討する必要があります。

OSSのセキュリティ対策


OSSを安全に利用するためには、リスクを理解したうえで次のような対策を講じることが重要です。

1. 常に最新版を維持する

最も基本的かつ重要なのは、OSSを最新版に保つことです。パッケージ管理ツール(例:Composer、npm、pipなど)を活用し、更新状況を定期的に確認しましょう。自動アップデートの仕組みを導入するのも有効です。

2. ソフトウェア部品表(SBOM)の管理

システムにどのOSSライブラリを利用しているかを明確にする「ソフトウェア部品表(SBOM)」を作成することが推奨されています。これにより、脆弱性情報が公開された際に、該当するライブラリを迅速に特定・更新できます。最近では政府調達や大手企業でもSBOMの提出が求められるケースが増えています。

3. 脆弱性情報の収集

OSSの脆弱性は、NVD(National Vulnerability Database)や各プロジェクトのリリースノートで公開されます。自動的に脆弱性情報を収集できるツール(例:Dependabot, Snyk)を活用すれば、リスクをいち早く検知できます。

4. 商用サポートの活用

重要な基幹システムで利用する場合は、OSSの商用サポートを提供するベンダーと契約するのも有効です。たとえばRed Hat Enterprise LinuxやMariaDBの商用版などは、OSSをベースにしながら長期サポートやセキュリティパッチを保証しています。

企業における具体的な対応例


ある金融系企業では、OSSを利用する際に「OSS利用ガイドライン」を策定しました。そこでは以下をルール化しています。

  • 利用するOSSのライセンス・脆弱性情報を必ず確認する
  • 利用したOSSを一覧に登録し、更新状況を定期的に点検する
  • 重大な脆弱性が見つかった場合は、代替OSSや商用サポートに切り替える

このように社内ルールを整備することで、OSSを安心して活用できる体制を築いています。

まとめ


第4回では、OSS利用に伴うセキュリティリスクとその対処法を解説しました。重要なのは「OSSが危険なのではなく、利用方法次第で安全性が大きく変わる」という点です。次回は最終回として「OSSを業務で活かす戦略と導入ステップ」を取り上げ、情報システム担当者が実践的に利用を進めるための指針を示します。