単なる井戸端会議 パート164

『感謝、感謝です』

(2021年 4月 5日 福嶋)

春だなと感じる良い日々が続いています。

不要不急の外出・・・うぅぅ。我慢、我慢ですねぇ。そうした状況の中、

今年も四月一日新入社員の方々にご入社頂きました。その時の

社長挨拶をお話しさせて頂きます。

 

 

 

『感謝、感謝です』

 

株式会社エクステックへのご入社おめでとうございます。

皆さんはコロナ真っ只の中、大変な時期の中、就活を経て入社を勝ち

取った勝ち組ですよね。昨年の内定式に続き新型コロナウイルス対策

でマスクを付けての入社式にはなりましたが皆さんにとりまして人生の

門出です。良い思い出にして下さいね。

 

私は年齢のせいか、夜中に目が覚めて眠れなくなる事がよくあります。

そんな時に眠気を誘うためにパソコンを開いて資料を作ったり、メール

対応を行います。私から深夜メールが届いてそんなに遅くまで仕事を

されるのですか?と誤解される事がよくあります。単に眠気を呼ぶ為の

おまじないなので皆さんに届いた時には気にしないで下さいね。

 

眠気のおまじないはいつもパソコンに頼るかというとそういう訳ではない

です。テレビをつけ深夜アニメを観ることもあります。最近そんなアニメ

を観ていて「知らなかった」というセリフがありました。

 

主人公が「携帯で話している声は、本人の声ではない。」というのです。

皆さんは知っていましたか? ⇒ 皆さん、結構知ってました。

 

気になってすぐにネットで調べてみると、実はそれ、「本当に違う人の声」

なんですと書かれていました。遠距離恋愛で電話をして恋人の声をだと

思っていた人には、ショッキングな事かもしれません。

電話で聞こえてくる声は、登録されている声の中から、最も話している

人の声に近い声を選び出した合成音だそうです。

凄―いと感心しますが、恋人の声ではなかったの!と思うとやっぱり

複雑です。

 

どうしてそのままの声を伝えないのか?というと通話機器が世界中に

広まって、そのままの音声を伝えようとすれば、通信料が膨大になり、

通信がパンクしてしまうそうです。その為、登録されている声から選ぶ

といった技術が採用されたという事が書かれていました。

 

ところがこの話しは「携帯電話」のみで、固定電話等では実際の声を

そのまま伝えているそうです。知っていました? ⇒ これは知らなかった。

だから、好きな人との電話は携帯電話ではなく固定電話にしましょう。

エクステックが固定電話を販売している会社なら、入社式の話しとして

良かったのですが固定電話屋さんではないので話しを変えてもう少し

続けます。

 

皆さんは晴れて今日からエクステック社員です。皆さんにはまだまだ先

の話しですが、エクステックの定年は就業規則で 60 歳、協議を行い

65 歳まで延長が出来ます。皆さんの時にはもって延びて、定年はなく

なっているかもしれませんね。

 

現状はと言いますと、定年延長でお仕事をして頂いている人は何人も

います。その中の一人にこの四月をもって任期満了で定年退職する

女性エンジニアがいます。

彼女の了解をもらいましたので、彼女のエンジニア人生のお話しを少し

させて頂きます。

 

彼女は定年任期満了どころか、定年の延長の延長で、今年67 歳に

なります。

彼女は記憶力や集中力が落ちたと言っていますが、どうして、どうして、

頭の回転は早く、考えが柔軟で社内外皆さんがまだまだ現役と認める

エンジニアです。

 

彼女が担当しているお客様は年商7,400憶円の大きな企業です。その

企業のシステムを長年に渡り推進してきた中心メンバーです。彼女には

年齢に関係なく続けられるところまでは続けて欲しいと思っていました。

 

ところが昨年末ついに彼女からそろそろ引退を考えていますとの相談が

私にありました。年が明け私からお客様にその旨を伝えたところお客様

の現場は大騒ぎになりました。

お客様からは退職を一年延ばしてもらえないかと手を変え、品を変え、

何度も相談がありました。お客様には彼女の意向をくんでこの四月末での

退職で何とか了解をもらいました。

 

25年前エクステックを設立し間もない頃は会社としてシステム開発の

実績がまだまだ少ないので中堅クラスの企業からシステム開発の仕事

をもらっていました。その頃は私もエンジニアをやっていて、ある時株式

公開をしている会社から仕事の話しで呼ばれました。

 

何と朝の7時に集められ、行ってみると沢山の人がいました。開発中の

システム検証作業に参加する人をその中から30人ほど選ぶという面談

でした。食堂と休憩所を兼ねた広いスペースで沢山の人が面談の待機

をする事になりました。

 

12時になっても、15時になっても、一向に動きがなく怒り出して帰る人

もいました。結局、その日は説明もなく明日もう一度集まって下さいと

いう事になりました。

翌日、面談で30人ほどが選ばれ、私にはその夜間チームのリーダーを

やって欲しいと言われました。

大きなプロジェクトで設計、開発、検証チームが24時間フル稼働でいつ

検証作業が発生するか分からないので夜間に待機し、検証発生時に

作業を行う夜間検証チームです。

 

夜に出社し朝方までの勤務を行い、朝方その作業が終了すると仕事を

出している会社の責任者に引継ぎを行います。

実はその責任者が四月でエクステックを卒業する女性エンジニアとの

出会いでした。

 

夜間メンバーは色んな会社から集められた混合チームで、連日夜間

作業という事もありチーム内での不満はかなりありましたが、何とか

その夜間作業も無事に終えリーダーとしても評価を頂く事が出来ました。

 

それから何年か仕事をこなす中でエクステックの実績や信頼もでき、

お客様からも直接お仕事を頂けるようになりました。

そうした中で大規模な再構築プロジェクトで初期構想から全体に携わる

事のできる話を頂きました。分析、設計とどんどんプロジェクトが進み、

エクステックの開発担当分が決まるとエクステックの社員だけでは人が

足りなくなりました。

今度はその夜間作業を頂いた会社から何名かエンジニアをお借りしま

した。そのメンバーに彼女が居てふたたび再会しました。

 

以前の仕事で実力は分かっていましたが、とにかく理解が早く、丁寧な

仕事で、柔軟に対応してくれ、凄い戦力でした。一緒にプロジェクトを

進め、本番稼働に至る事が出来ました。今後の保守や新たな開発に

残すメンバーを人選する事になりました。私は社長業に専念したい事を

伝え、お客様と協議し、彼女に残ってもらう事にしました。

それ以降、お客様と彼女の意向で二十数年間このシステムに彼女が

携わる事になります。

 

案の定、その後もお客様から評価は高く「彼女の言うことならそれでいき

ましょう。」とお客様と一緒に、更に便利なシステムへとレベルアップして

いきました。

そんな中、残念でしたが彼女の所属していた会社がある事情で会社を

閉める事になりました。お客様にとって彼女は不可欠な存在になっており、

お客様からは彼女に入社を考えて欲しいとのオファーがありました。

 

エクステックも彼女の人柄、実力を認めていたのでうちに来てもらっても

良いですよという話しはしましたが自分が希望する会社を選んで頂ければ

良いですよと伝えました。

普通に考えればお客様への入社を選びそうですが彼女はエクステックで

仕事をしたいという選択をしました。その理由を聞くとお客様の会社に

お世話になれば今とは違う環境や関係になり、同じような仕事が出来なく

なるのでそれは望んでいないとの事でした。

 

エクステックの社員になってからも、お客様の中心メンバーとして設計や開発

を進め、各社ベンダーとの打合せにもお客様の情報部門として参加する等、

大活躍でした。

 

ただ、長い人生の中では色々な事があり、その一つにお母さんの介護でどう

しても通常勤務が難しくご迷惑を掛けてはいけないので退職したいとの相談

もありました。

その時にはエクステックはもちろんですがお客様の方でも日々の勤務時間を

半分にしたり、数ヶ月休職し目途がたったら復帰して下さいといった配慮を

頂きました。

 

そうした介護と仕事の両立を行いながらでしたが、残念なことにお母さんは

亡くなられました。その後は色々助けて頂いた恩返しも含め仕事に精を出し、

この四月末での退職に至りました。

 

とにかく出会いが出会いですし、付き合いも長いので、食事に行った時なんかも

同窓会のようです。四月末で退職されるのは寂しいですが最後まで勤め上げ、

惜しまれながら後悔のない素晴らしいエンジニア人生だったと思います。

私も感謝、感謝です。

退職後も連絡は取りますし、手伝って欲しい時はアルバイトのお願いをすると

思います。

 

皆さんは長い人生の中で今日から社会人としてのスタートをきりました。

社会人としての長い人生を身近で支え、寄り添ってくれるのは会社であり、その

仲間であり、その仕事であるというのをこれから皆さんは沢山実感されると思い

ます。私自身もエクステックで皆さんと一緒に働く中で沢山の支えや喜び、自身

のやり甲斐、生き甲斐を実感してきました。

 

長い人生、時には大きな挫折もあります。私はそうした局面で、何度も会社や

仲間、仕事に助けられてきました。

大きな挫折をした時、会社や仲間と話しをしたり仕事に没頭する事でその時間

はその挫折の苦しみを忘れさせてくれ、前を向く気持ちを育ててくれました。

そうした環境や時間といった自分の居場所が有ることでヤケになって道を踏み

外す事もなく、徐々に嚙み合っていない生活のリズムも治癒してくれました。

 

「ちゃんとだれかが見ていてくれる」

何気ない言葉ですが、これからの皆さんには心強いピッタリな言葉だと思い

ます。これは私の家のキッチンののれんに書かれキラ~ンと輝いている言葉

です。完全な人はいないですからね。苦手なところや出来ない事があっても

大丈夫です。それを認めるところから自分磨きがスタートします。

 

そうして自分を磨いていくことで、老いも若きも、経験や知識、やる気を活か

して、設計、プログラミング、コンサル、企画、分析、プレゼンなどITという

仕事は自分次第で同じ土俵に上がる事が出来る一生ものの仕事になります。

 

ITの仕事はやり甲斐や仲間との繋がりを感じる中で、自分や家族を支えて

くれる素晴らしい仕事です。一緒に頑張っていきましょうね。

 

最後に、皆さんとも出会えて今日から一緒にお仕事が出来る事に感謝して

います。簡単ではございますが、私の祝辞とさせて頂きます。

 

 

 

株式会社エクステック 代表取締役  福嶋 昭