単なる井戸端会議 パート135

『内定式2018』

 

(2018年11月 5日 福嶋 昭)

10月は来年新卒入社頂く人達の内定式でした。少し緊張気味

の内定式から始まり、和気あいあいのボーリング大会、締めは

大阪らしさ溢れるミナミでの懇親会でした。

社内のレクレーションイベントは今年入社した新入社員達と

諸先輩が仕事の合間をぬって企画、準備、運営を進めてくれ

ます。それは毎年の恒例になり、嬉しく頼もしい限りです。

 

私の役割は内定式と懇親会の挨拶です。

内定式での挨拶に昨年は鉄板うけの娘ネタ、今年は映画「響」

を使わせて頂きました。

 

 

 

―― 『内定式2018』

 

今回はこんな感じでのお話しをさせて頂きました。

 

こんにちは。「内定者の皆さん、本日はおめでとうございます」

改めまして(株)エクステック代表の福嶋でございます。

少し緊張されていますか?

⇒初々しく頷いてくれる

 

何・何・式というと堅苦しく感じますが、内定式の社長挨拶は

私の雑談ですので気楽に聞いてもらって大丈夫です。

という事で、皆さん映画は観に行かれますか。

私は最近映画館に足を運ぶペースは少なくなっていますが、

それでも月に何本かの映画は観ています。

 

最近で言うと、『ジュラシック・ワールド 炎の王国』『オーシャン

ズ8』『響 – HiBiKi』『MEG ザ・モンスター』等は観にいきました。

⇒幸い『響 』は誰も観ていなかった。

後の懇親会で取締役が『ジュラシック・ワールド』を観に行った

事が判明。

 

人それぞれ好みがありますが、その中で今日は『響 – HiBiKi』

について雑談させて頂きます。

どんな映画かご存じの方いますか?

2017年にマンガ大賞を受賞した柳本光晴先生の漫画「響~

小説家になる方法~」を映画化した作品です。

主演は欅坂46の平手友梨奈ちゃんです。封切り間もない三連休

に観に行きましたので、ファンの人達でいっぱいかと思いきや

ガラガラでした。えっ、単なるアイドル映画?面白しろくないの?

演技下手なの?寝てしまうかな?と色々憶測をしました。

⇒内定者の人達もアニメや乃木坂46好きが式の後の雑談で判明。

 

簡単に映画のあらすじをお話ししておきますと。

15歳の響は高校の文芸部に入部を申し出たところ、部室をたまり場

にしていた上級生に追い払われようとします。

それに異論を唱えるとその上級生から「殺すぞ。」と言われ響は胸倉

をつかまれます。

その時に響がとった行動はその一本の指を握ってへし折り、「私は

殺されないようにしただけ。」と平然な表情から物語は始まります。

 

その事があり上級生が文芸部を退部したことで人数が足りなくなり

文芸部が廃部になる可能性が出てきました。そこで響が責任を取っ

て部員を集めないといけなくなりました。

 

響は指を折った上級生のところにいき文芸部に戻るよう言います。

その上級生は文芸部に戻る条件として屋上から飛び降りろと言い

ます。これにも響は全く表情を変えずに屋上から大の字で天を仰ぎ

ながら落ちていきます。映画宣伝にも使われたシーンです。

 

響は小説を読む事も書く事も大好きな高校生です。自分の力を試す

為に自分の書いた小説『お伽の庭』をある出版社の新人賞部門に

応募します。その作品は完成度の高さから、圧倒的な評価を得て

新人賞に選ばれ、誰もがその才能を認めます。

 

響の所属する文芸部の部長は有名な作家の娘です。その部長は

親の七光りで世間から注目をあびながら、小説家を目指しています。

ある時、響が新人賞をとった出版社に行くとその文芸部の部長が

男性とテーブルで話しをしていました。

部長は男性から親の七光りで小説を書くよりも援助交際の方が

似合っている等の罵声を浴びせられます。

それを見た響はその男性に近づくなり、回し蹴りを入れます。

 

慌てて編集者の人が飛んできて「この人が誰か知っているの?」と

聞かれ、響は「芥川賞を受賞した鬼島友。その時の作品は面白かっ

たけど、今はつまらない。」と言い放ちます。

響の小説『お伽の庭』は芥川賞と直木賞にもダブルノミネートをされ

ます。響が蹴りを入れた鬼島はその審査員も務めていました。侮辱

された鬼島ではありますが、響の才能は疑う余地がなく響に一票を

入れます。

 

響の才能は誰もが認めるところですが、生き方を絶対曲げない彼女

が引き起こす暴力事件に、出版社は響の文才と社会性のなさに頭を

抱えながら物語がどんどん進んでいきます。

と、もう少しお話しをしたいのですが響のストーリーはここまでにして

おきます。ここから先は映画やコミック本でぜひ楽しんで下さい。

社長挨拶をこれで締めてしまいますといくら何でも尻切れトンボです

ので何故、『響』の話をしたのかをもう少しお話しをしておきますね。

 

響は自分の信じる生き方を絶対曲げません。世間の常識に囚われ、

建前をかざして生きる人々の誤魔化しを許す事ができない。そんな

生き方です。

 

響がとる行動は物語の中で過去の栄光にすがる有名作家、スクープ

欲だけで動く記者、生きることに挫折した売れない小説家など、様々

な人に影響を与え、彼らの価値観をも変え始めます。

 

そんな響なので自分本位の生き方と思われがちですが、響が仲間だと

思う人が傷つけられたり、困った時には自分を盾にして守ろうとします。

物語の中で、仲間から絶交と言われてもその仲間が謝ってきた時には

その言葉は本当の言葉じゃないと分かっていたから「許す」と言える

心を持った人間です。

 

皆さんに、響のような考え方や生き方をして下さいと推奨している訳

ではありません。これから社会人としてIT業界で生きていく皆さんに

この生き方がどう映り、どう評価するのかを考えてみて欲しいと思い

ました。

 

響は素晴らしい才能は持っていますが、誰がみても偏り過ぎです。

どんなに素晴らしい才能でも相手を傷つけてはいけません。それを

理解し、バランスの取れたもう一つの心を持った時には違う作品が

次々に生まれるのかもしれません。

でも、素晴らしい作品が日の目を見るのもその響の才能とその才能

を理解し活かそうとする出版社があってこそです。

 

少し話しは変わりますが、日本は何故インターネットで世界に負け

たんでしょうね。

 

一つは、1990年代後半には若者たちが「これからはネットの時代!」

と言ったのに、上の年代の人たちがその可能性を理解出来ずに取り

組まなかった事です。

ネットを「信用できない」と否定し、結局新しいものが生まれる機会

を逃してしまいました。この物語で言うと響の才能を理解出来る

出版社みたいな企業がなかったという事になるかもしれません。

 

二つ目に、日本では若い人がその権限を中々持たせてもらえません。

それを望む若い人に権限を与えていれば、違った何かが起こって

いた可能性はあります。もちろん若者のみんながみんなそれを望み、

新しいものを創れる訳ではありません。

でも、行動を起こさないと、それをやらないと変化は起こりません。

響が物語を書かなければその作品は生まれないという事です。

 

「イノベーションが起こらない」と悩んでいる企業や経営者の人達は

私の周りに沢山いますし、その話もよく聞きます。

その話しになると毎回、毎回、ループし、自分がノーアイデアなら

若手の感性を信じてチャンスと環境を与えてあげればと言ってしまう

事があります。

エクステックという会社は他の会社に比べるとそのような若者の

想いをくみ、取組んでいる方だと思いますが、まだまだ変わって

いかなければいけません。

 

だから皆さんもエクステックに入社したらどんどん自分を出して

欲しいと思っています。もちろん、その中で相手を思いやる心も

忘れないで下さい。

私達経営陣は皆さんの能力や感性を理解し活かせる環境作りに努力

しないといけない役割があります。

私達も頑張りますので皆さんも一緒に頑張りましょう。

 

くどいようですが、響の映画「やばい」くらい面白いので是非とも

見て下さい。ただ、響のような極端な生き方や行動をしたら大抵

の人は周りに沢山の敵を作りボコボコにされますので映画を見ても

響が憑依しないよう注意して下さい。

 

本日は響を用いて、「エクステックでどんどん自分を出して下さい。

その中で相手を思いやる心も持って下さい。私達も一緒に頑張り

ます」という事をお話しさせて頂きました。

四月の入社式には今日の話しの続きで『日本はなぜ人工知能で

世界に勝てないか』というお話しをしたいと思っています。

 

では、簡単ではございますが私の内定式のご挨拶とさせて頂きます。