情報処理技術者試験は技術者に必要か?/企画推進室

情報処理技術者試験

2週間後の10月21日(日)、情報処理技術者試験(平成30年度秋期試験)が実施されます。受験される方、準備は万全ですか?

(2018年10月6日 企画推進室)

目次

1.情報処理技術者試験 平成30年度秋期試験について

まずは、実施される試験を確認しておきましょう。

試験実施日 平成30年10月21日(日)
試験区分 情報セキュリティマネジメント試験(SG) 情報システムの利用部門において情報セキュリティが確保された状況を実現し、維持・改善するための知識・実践能力が要求される
09:30~11:00(90分) 四肢択一
12:30~14:00(90分) 多肢選択式
基本情報技術者試験(FE) 上位者の指導の下、基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し、担当業務に応じた知識・技能が要求される
09:30~12:00(150分) 四肢択一
13:00~15:30(150分) 多肢選択式
応用情報技術者試験(AP) 独力で、基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し、担当業務に応じた知識・技能が要求される
09:30~12:00(150分) 四肢択一
13:00~15:30(150分) 記述式
ITストラテジスト試験(ST) 事業企画、業務改革推進、情報化企画、製品・サービス企画などの部門において、情報技術を活用した基本戦略の策定・提案・推進を遂行するための能力が要求される
09:30~10:20(50分) 四肢択一
10:50~11:30(40分) 四肢択一
12:30~14:00(90分) 記述式
14:30~16:30(120分) 論述式
システムアーキテクト試験(SA) システムアーキテクトの業務と役割を円滑に遂行するための知識・実践能力が要求される
09:30~10:20(50分) 四肢択一
10:50~11:30(40分) 四肢択一
12:30~14:00(90分) 記述式
14:30~16:30(120分) 論述式
ネットワークスペシャリスト試験(NW) 目的に適合したネットワークシステムを構築・維持するための知識・実践能力が要求される
09:30~10:20(50分) 四肢択一
10:50~11:30(40分) 四肢択一
12:30~14:00(90分) 記述式
14:30~16:30(120分) 論述式
ITサービスマネージャ試験(SM) ITサービスマネージャの業務と役割を円滑に遂行するための知識・実践能力が要求される
09:30~10:20(50分) 四肢択一
10:50~11:30(40分) 四肢択一
12:30~14:00(90分) 記述式
14:30~16:30(120分) 論述式
情報処理安全確保支援士試験(SC) 情報セキュリティ技術の専門家として、他の専門家と協力しながら情報セキュリティ技術を適用して、セキュアな情報システムを企画・要件定義・開発・運用・保守するための知識・実践能力が要求される
09:30~10:20(50分) 四肢択一
10:50~11:30(40分) 四肢択一
12:30~14:00(90分) 記述式
14:30~16:30(120分) 論述式

 

2.データで見る情報処理技術者試験

受験者数推移

H21年度:440,324 人
H23年度:402,384 人
H25年度:331,834 人
H27年度:328,101 人
H28年度:368,591 人
H29年度:345,232 人

ずっと減少傾向にあったのですが、平成28年度以降増加傾向にあります。

応募者数前年比

平成29年度秋期試験

情報セキマネ:-5.8
基本情報技術:2.2
応用情報技術:-3.6
ITストラテ:4.6
アーキテクト:6.4
ネットワーク:8.1
情報セキスペ:-27.9
ITサービス:9.5

平成30年度春期試験

情報セキマネ:-8.8
基本情報技術:8.6
応用情報技術:-0.2
プロジェクト:-0.4
データベース:-3.1
エンベデッド:1.2
情報セキスペ:-7.8
システム監査:2.5

 

全体的に増加傾向にありながら、人気にバラつきがあることがわかります。基本情報処理技術者の人気は安定ですね。

合格率

平成29年度秋期試験

情報セキマネ:50.4%
基本情報技術:21.8%
応用情報技術:21.8%
ITストラテ:14.7%
アーキテクト:12.7%
ネットワーク:13.6%
情報セキスペ:17.1%
ITサービス:13.6%

平成30年度春期試験

情報セキマネ:53.7%
基本情報技術:28.9%
応用情報技術:22.7%
プロジェクト:13.2%
データベース:13.9%
エンベデッド:17.8%
情報セキスペ:16.9%
システム監査:14.4%

 

情報セキュリティマネジメント試験は、情報システムの利用部門向け試験だけあって、比較的難易度が低めに設定されています。それ以外の試験は基本情報処理技術者試験ですら30%を切る、難易度の高い試験と言えるでしょう。情報系未経験者で合格するのは難しいと言えます。そんな方には、まずITパスポート試験を受験する事をお薦めします。

3.ITエンジニアとして、何はともあれ基本情報

ITエンジニアとしてキャリアをスタートするには、まず基本情報技術者試験から受験することをお勧めします。しっかりとした基礎を身に付けることにより、その後の応用力の幅が格段に広がります。

IPA(情報処理推進機構)公式サイトより抜粋

期待する技術水準
1 情報技術を活用した戦略立案に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
① 対象とする業種・業務に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。
② 上位者の指導の下に、情報戦略に関する予測・分析・評価ができる。
③ 上位者の指導の下に、提案活動に参加できる。

2 システムの設計・開発・運用に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
① 情報技術全般に関する基本的な事項を理解し、担当業務に活用できる。
② 上位者の指導の下に、システムの設計・開発・運用ができる。
③ 上位者の指導の下に、ソフトウェアを設計できる。
④ 上位者の方針を理解し、自らソフトウェアを開発できる。

IPA(情報処理推進機構)公式サイトより抜粋

という事で、基本情報処理技術者はシステムエンジニア、プログラマの登竜門です。何はともあれ、プロのITエンジニアとしてはここからスタートしましょう。

ちなみに、どんな試験であっても、必須となる勉強方法は、過去問の徹底演習です。試験制度が大きく変わる年を除き、「過去問をテキストの一種として捉え、問題を解いて間違った所を学習する」というルーティンを繰り返し行いましょう。これは超難関資格試験の合格者が必ず行う学習法(試験攻略法)です。

4.情報処理技術者試験に合格すると評価されるか

一方で、こんな意見をよく聞きます。
・情報処理技術者試験は免許をもらえる類の試験ではなく、ただの評価試験だ。
・「プロジェクトマネージャ試験」の合格者がプロジェクトマネージャの仕事に就けるわけではない。
・試験に合格していないけど、優秀な人は周りに沢山いる。
・実務では役に立たない。試験勉強するより、現場で経験すれば何倍もスキルが身に付く。
・試験の内容が古臭い。ITの業界は日進月歩で日々トレンドが変わっている。

 

いずれも一理あると思います。一方で、ITProによると基本情報技術者は読者の6割弱が保有し、受験を推奨する企業が多いのも事実です。では、上記のような意見の多い試験を、企業はなぜ推奨するのでしょう。

・試験に取り組む姿勢を見る
・職種への適性を知る
・IT分野に対する普遍的な基礎力が付く
・スキルを身につける指標になる

理由としては上記のような事が考えられます。

IPAはITスキル標準という、ITエンジニアのスキルに対する「ものさし」を作っています。情報処理技術者試験は、その「ものさし」に対してどれぐらいの位置にいるのか、という事を測るのに適した試験となっているのです。

しかし、ここで言う「スキル」は「実力」とイコールでは無い点に注意が必要です。あくまで、知識として持っているというだけで、その知識を活用できるか、という点が本当の実力になります。

このギャップが、「実務では役に立たない」という意見に繋がってしまうのだと思います。

という訳で、結論としては

試験に合格すれば企業からは評価される。しかし、合格後にそのスキルを活かせなければ評価が下がる可能性がある

という所でしょうか。

ちなみに、エクステックの評価制度はITスキル標準に近い形で制度設計されており、情報処理技術者試験を推奨しています。しかし、スキルをメインにした制度から「コンピテンシー(行動特性)」、「成果」、「成長性」といった、個人個人の多様性を重視した制度設計への見直しを検討しています。

試験合格者へは、その「行動(=努力)」を評価し、身に付けたスキルを活用できる(=実力を身につける)ための、教育体制を作っていく事が、この試験を活かすために重要だと考えています。

 

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