第1回・第2回で権限や通信の悩みを経験した私ですが、最後に待っていたのは再デプロイやスケール時の落とし穴でした。今回は、具体例や工数、運用上の工夫まで含めて紹介します。
再デプロイ時の環境差異
再デプロイの度にハマるのが、環境差異によるトラブルです。例えば:
- PHP-FPMコンテナで環境変数が設定されていないため、DB接続に失敗
- NginxコンテナでSSL証明書が配置されておらず、HTTPSが動かない
- ボリュームマウント先が前回の設定と異なり、ログが書き込めない
これらは開発環境では出なかった問題で、気づかず再デプロイすると数十分単位でサービスが停止します。私は再デプロイ前にチェックリストを作り、各コンテナの環境変数・ボリューム・証明書を確認する習慣をつけました。
ウェブサーバーのスケール時の課題
Nginxを複数立ち上げると、PHPコンテナとの接続やソースコードの共有がネックになります。
ソースを両コンテナに置く場合は同期が必要で、ボリュームを使う場合は権限や可用性を意識する必要があります。
特に、静的ファイル・JS・PHPがディレクトリレベルで混在している場合は、どちらの方法も一長一短です。
このような課題を経験すると、単純に「Dockerで動く」だけでは安心できず、運用設計の重要性を痛感します。
教訓と次のステップ
- 再デプロイ時は環境差異を最小化するチェックリストを用意
- スケール構成ではソース配置・通信経路を事前に設計
- 権限・ボリューム・設定の一貫性を保つことで運用工数を削減
- 今回の学びは、次に控えるクラウド移行連載でも直接役立つ
こうしてDocker PHP+Nginxシリーズは一旦完結です。
読者の皆さんも、自分の現場で同じ視点を持って準備してみてください。失敗から学ぶことが、本番運用で最も価値のある経験になります。