システム引継ぎを円滑にするチェックリスト|情報システム担当者のための実践ガイド(第4回)

はじめに:引継ぎの重要性


前回は強い保守運用体制の作り方を解説しました。いくら運用体制が整っても、開発から運用への引継ぎが不十分だと効果は半減します。本記事では、IS担当者がシステム引継ぎを円滑に進めるためのチェックリストを紹介します。

引継ぎ前の準備


  • 関係者の明確化:開発担当者、運用担当者、業務部門の担当者を確認
  • 対象システムの棚卸し:構成、バージョン、依存関係を整理
  • ドキュメントの収集:設計書、仕様書、運用マニュアル、過去障害履歴
  • スケジュール調整:引継ぎ期間、作業時間、ハンズオンのタイミングを設定

必ず確認・引き継ぐ項目


1. システム構成

  • サーバー構成(OS、ハードウェア、クラウドサービス)
  • ネットワーク構成(IP、VPN、ファイアウォールルール)
  • ミドルウェアや依存ライブラリのバージョン

2. 運用手順

  • 定期バックアップ手順
  • パッチ適用・更新手順
  • 障害発生時の一次対応フロー
  • アラート通知ルール

3. セキュリティ・法令対応

  • アクセス権限一覧・認証方式
  • ログ管理・監査対応
  • 関連法規や社内規程の確認

4. 過去の障害・トラブル履歴

  • 発生日時・原因・対応内容
  • 再発防止策や暫定対応策
  • 未解決の課題や改善ポイント

5. 関連連絡先

  • ベンダー窓口、保守契約先、社内担当者
  • 緊急時の連絡手順・優先度

円滑な引継ぎの進め方


  • ハンズオン形式で操作方法を直接確認
  • ドキュメントと実作業を照合して理解度を確認
  • 未確認項目は必ずリスト化して追加確認
  • 引継ぎ完了後はレビュー会議で確認・承認

実務で役立つポイント


  • チェックリストはデジタル化してチームで共有
  • 手順書は最新状態を維持する仕組みを作る
  • 定期的なレビューで陳腐化を防ぐ
  • トラブル発生時は、引継ぎ内容と照合して原因分析に活用
Tips引継ぎ業務に不安がある場合は、当社のシステム開発・保守引継ぎサービスのを活用すると効率的です。運用フローやコミュニケーションルールを網羅した保守運用手順書などを準備。運用マニュアルの整備、障害対応フロー作成、ハンズオン引継ぎまで一括支援します。

まとめ:チェックリストで引継ぎを確実に


保守運用の引継ぎは、属人化やトラブルを防ぐための重要なステップです。
チェックリストを活用して、以下を実現しましょう:

  • 全員が同じ情報を把握できる
  • 障害対応や日常運用の属人化を防ぐ
  • 次回以降の保守運用を円滑に進められる

次回は、保守運用の今後の展望や新しい取り組みについて紹介します。最新の運用課題や技術動向も踏まえた内容です。